デザイナーは、制作物を作ると印刷会社にデータ入稿を行わなければなりません。
その時に、完璧な入稿用データを作れるようになることはとても大切です。
そこで今回はデザイナー初心者に向けて、入稿データを作るとき注意すべき項目を紹介します。
慣れてしまえばルーティーンワークで出来てしまうのですが、慣れるまではひとつひとつ丁寧に確認するように心がけましょう。
ぜひ当記事を見ながら、入稿データを作ってみてくださいね。
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内容がサクッと分かる目次
- 1 Illustratorで入稿データを作る時の注意点
- 1.1 トリムマーク(トンボ)の作成はしていますか?
- 1.2 塗り足しはきちんと足りていますか?
- 1.3 線の設定は適切ですか?
- 1.4 孤立点は削除していますか?
- 1.5 アートワーク外に不要なオブジェクトを配置していませんか?
- 1.6 オブジェクトが隠してあったり、ロックがかかっていませんか?
- 1.7 フォントはアウトラインをとっていますか?
- 1.8 不要なスウォッチは削除していますか?
- 1.9 特色カラーやRGBカラーは混ざっていませんか?
- 1.10 リッチブラックになっているオブジェクトはありませんか?
- 1.11 Illustratorは、印刷会社対応のバージョンに設定していますか?
- 1.12 配置した画像の解像度・カラーモード・保存形式(拡張子)は適切?
- 1.13 配置画像はリンク切れになっていませんか?
- 1.14 出力見本を添付していますか?
- 2 《入稿不備は厳禁!》クライアントからのクレームの原因にもなるので要注意!
- 3 Illustratorで入稿データを作る時の注意点まとめ
Illustratorで入稿データを作る時の注意点
入稿データを作成する時、特に注意すべき14のポイントを紹介します。
ただし、入稿する印刷会社によって決まりが若干の違うことがあるので、必ず印刷会社のマニュアルを読む習慣をつけてくださいね。
トリムマーク(トンボ)の作成はしていますか?
トリムマーク(トンボ)とは、印刷した紙を裁ち落とす時の位置を示すマークのことです。
上の画像(↑)の四隅に「鍵カッコ」のようなマークがあると思いますが、それがトリムマーク (トンボ)です。
トリムマークを作りたい大きさのオブジェクトを選択して「オブジェクト」→「トリムマークを作成」で作ることができます。
そして、トリムマークを作成したら必ずアピアランスの分割を行ってください。
「オブジェクト」→「アピアランスを分割」でできます。
塗り足しはきちんと足りていますか?
裁ち落としラインからはみ出るように、必ず塗り足し部分を設定してください。
(上の画像の場合→最低でも青の点線部分までは塗り足しが必要です。)
塗り足しが足りないと、裁ち落としの際に支障が出て、データ不備になってしまう可能性があります。
必ず塗り足しが足りているか確認しましょう。
線の設定は適切ですか?
線の部分が塗りになっていませんか?
データ的に適切ではないので、必ず線の設定を行いましょう。
また、印刷会社によっては細すぎる線は印刷できないことがあります。
事前にどのくらいの細さまでの線の印刷に耐えることができるか、調べておきましょう。
0.25〜0.3ptまでの線の細さが、一般的に印刷に耐えれる細さです。
孤立点は削除していますか?
アートワーク内に不要な孤立点はありませんか?
孤立点とは細かい点のようなものなので、ぱっと見で気づきにくく見落としがちになってしまいます。
孤立点に気づかないと、意図しないオブジェクトが紛れ込んでしまって、正しいデータが印刷されないので必ず削除を行いましょう。
「オブジェクト」→「パス」→「パスの削除」で孤立点を削除できます。
「選択」→「オブジェクト」→「余分なポイント」でも、孤立点を削除できます。
アートワーク外に不要なオブジェクトを配置していませんか?
Illustratorで作業する場合、アートワーク外にもオブジェクトを配置しながら編集をすると思いますが、入稿データを作る際は、入稿に関係ない不要なオブジェクトは削除しましょう。
データが重くなる原因になります。
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オブジェクトが隠してあったり、ロックがかかっていませんか?
Illustratorを操作する際に、オブジェクトを一時的に隠したり(ショートカット:⌘+3)、ロックをかけたり(ショートカット:⌘+2)すると思いますが、解除を忘れないようにしてくださいね。
確認の方法は簡単です。
メニューバーの「オブジェクト」より、
「すべてのロック解除」
「すべてを表示」
が、グレー(選択できない)状態であればOK。
もしオブジェクトが隠れていたり、ロックがかかっていたりしたら忘れずに解除をしてください。
フォントはアウトラインをとっていますか?
すべてのフォントにアウトラインをかけて入稿しましょう。
相手先の印刷会社が持っているフォントを使用する場合、アウトラインをかけずとも入稿データを受け付けてくれる場合もありますが、原則として入稿データにはアウトラインをかける癖をつけましょう。
「書式」→「アウトラインを作成」(ショートカット:⌘+Shift+O)で完了です。
不要なスウォッチは削除していますか?
必須ではないのですが、スウォッチパネル内にカラーや模様がたくさんあると、データが重くなる原因にもなるので、極力スウォッチを削除してから入稿するようにしてください。
特色カラーやRGBカラーは混ざっていませんか?
紙媒体に出力するIllustratorの入稿データはすべて「CMYK」カラーで作成します。
昨今は「RGB」カラーでの入稿も可能な印刷会社もありますが、出来上がったカラーがイメージと変わってしまう場合もあるので、CMYKで入稿データを作った方が良いです。
また、特色カラーは通常のCMYKとは違った印刷扱いになるので、別途料金が加算されます。
意図しない場合の特色カラーの配色は、データ不備の対象になるので、気をつけましょう。
リッチブラックになっているオブジェクトはありませんか?
リッチブラックとは、CMYKのKが100%のブラックではなく、CMYのカラーも混ざったブラックのことです。
(PC画面では識別がつきにくいですが…)
一般的にK100%のブラックよりもリッチブラックの方が濃く美しいブラックに仕上がると言われてします。
本人が意図せずとも、流用データや素材サイトから引っ張ってきたデータは、たまにリッチブラックの設定になっているので、注意してください。
CMYの値が高い場合、印刷会社によっては、データ不備の対象となります。
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Illustratorは、印刷会社対応のバージョンに設定していますか?
大手印刷会社なら最新のIllustrator(Photoshop)のバージョンに対応していますが、中には古いバージョンのIllustratorを扱っている会社もあるので、事前に確認が必要です。
印刷会社に合ったIllustratorのバージョンで入稿するようにしてください。
古いバージョンのデータを新しいバージョンで開く分には問題ないが、新しいバージョンのデータを古いバージョンで開くと、不備が出てしまう可能性があります。
配置した画像の解像度・カラーモード・保存形式(拡張子)は適切?
Illustratorでデザインをする場合、画像データは「配置」で編集するかと思います。
画像を「埋め込み」で編集してもいいのですが、データが重くなりすぎて編集に影響が出てしまうのと、画像差し替えや編集が面倒くさくなったりと、何かと不便なので「配置」が主流です。
配置する画像データは、Photoshopで作る人がほとんどだと思いますが、以下の点に気をつけて画像を作成してください。
画像のカラーモードはCMYK
画像解像度は300〜350dpi
保存形式は、PSD、EPS、TIFFが主流
PSD保存の場合は、すべてのレイヤーを統合する
配置画像はリンク切れになっていませんか?
画像を配置して入稿する場合、同一フォルダ内に必ず元画像となるデータも一緒に入稿しなければなりません。
元の画像データがない状態で、Illustratorを開くと「リンク切れ」になってしまい、もれなくデータ不備扱いとなってしまうので注意。
大量の画像を使ったデザインの場合も、ひとつの欠けもなく画像データを添付しているか確認するようにしましょう。
出力見本を添付していますか?
入稿データとは別に、完成形のデザインがひと目で確認できるような見本を提示しなければなりません。(←出力見本の有無は、印刷会社にもよる)
JPEGやPDFなどのデータが主流で、入稿データと一緒に添付すればOKです。
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《入稿不備は厳禁!》クライアントからのクレームの原因にもなるので要注意!
細かい決まりもあって、覚えることがたくさんありますが、入稿データは何が何でも不備があってはいけません。
それはなぜかというと、データ不備があることで印刷作業が一時止まってしまい(再入稿の可能性もあるので)、最悪納期がズレてしまう事態になるんです。
「◯日までに必ず納品してください。」とクライアントから要望があった場合、そこから逆算してデザイン業務に取りかかると思いますが、想定外のデータ不備があるだけで、納品日が1日ズレてしまうことも。
納品がズレてしまうことは、信用問題に関わることなので、絶対に避けたいところです。
印刷会社に追加料金を支払えば、納品日に間に合うように印刷を終わらせることも可能ですが、その分経費もかかるし、納品日直前の場合は、印刷会社側も対応できないという事態にもなってしまいます。
たったひとつの小さな入稿ミスが、クライアントや周辺の人に多大な迷惑をかけてしまうわけです。
時間がかかっても良いので、責任を持って慎重に入稿データを作るようにしましょう。
Illustratorで入稿データを作る時の注意点まとめ
最後にもう一度、入稿データを作る時に注意するポイントをまとめます。
- トリムマークの作成はしていますか?
- 塗り足しはきちんと足りていますか?
- 線の設定は適切ですか?
- 孤立点は削除していますか?
- アートワーク外に不要なオブジェクトを配置していませんか?
- ブラインド・ロックがかかっているオブジェクトはありませんか?
- フォントはアウトラインをとっていますか?
- 不要なスウォッチは削除していますか?
- 特色カラーやRGBカラーは混ざっていませんか?
- リッチブラックになっているオブジェクトはありませんか?
- Illustratorは、印刷会社対応のバージョンに設定していますか?
- 配置した画像の解像度・カラーモード・保存形式(拡張子)は適切?
- 配置画像はリンク切れになっていませんか?
- 出力見本を添付していますか?
入稿データにミスがあると、印刷処理が一時停止してしまい、納品日がズレてしまう可能性もあります。
最悪、信用問題にも関わる事態になってしまうかもしれないので、デザイナーという自覚とデータを最終的に扱っているという責任感持ち、ミスがないような入稿データを作るように心がけるようにしてください。
その際は、ぜひ当記事を参考にしていただけると幸いです。
入稿時の注意点はほぼ共通していますが、印刷会社によって異なる場合もあるので、印刷会社に入稿指示書などをもらう等して事前に確認するようにしてください。